感想:フェミニスト・シティ

それぞれの章で印象に残ったこと。

イントロダクション

  • 「ジェントリフィケーション」という用語を知った。
  • (自分の解釈なので書いていることとは違うかもしれない)すでに家父長制的にデザインされた都市や建築に、後からマイノリティを「加える」ことで排除に対抗しようとするアプローチは、根本的な家父長制を見直すことに繋がらないかもしれないということを知った。

1章 母の街

2章 友達の街

  • 全体的に女性同士の友情の美化に思えて、あまり飲み込めなかった…。恋愛関係が友情関係よりも上だという価値観に反対はしているけど、恋愛関係よりも友情関係が上というのもしっくり来ていない。どちらも定義が曖昧だから比べられないとも思っている(引用元で友情を定義しているかは未確認)。
  • この本では「自分はシスジェンダーで健常者の白人女性という特権があり~」という前置きが何度か出てきていて、この章の「女性」もそこを想定していると思うけど、そうだとしてもこの章の「女性」が意味する範囲は狭いように思えた。
  • 女の連帯が家父長制への反抗とみなされ、阻害されやすいなどの問題点はすごくよく分かる。

3章 ひとりの街

  • この章は「(特に女性が)一人で街にいること」と「街のあり方」の関係が整理されてて良かった。
  • ジェントリフィケーションにより街を過ごしやすくなる人がいる一方で、逆に過ごしづらくなる人もいる。都市や建築の変化だけでなく、社会的な変化も必要。

4章 街で声をあげること

  • 「自分の迎えを待つ子供がいる母親がデモに参加すること」の難しさが書かれていて、「多様な人」を想定するときに「子供がいる人」が抜けやすい自分にとって、こういう本を読むのが本当に大事だと思った章だった。抵抗の仕方は人それぞれで良いとされるべきだと改めて思った。

5章 恐怖の街

  • 女性専用車両的な隔離施策が海外にもあることを知った。
  • 筆者も「わお」ってなった、「女性が街などの空間で大胆に行動し、危害を受けずに奏功したとき、自分の合理的な判断のおかげと思わずに『うまくやりすごした』と解釈し直す」みたいな洞察がすごい。インポスター症候群とはまた違う感じ。

所感

  • 最初のエッセイっぽい部分の方は、言及されている都市のイメージがわかなくて読みづらかった。
  • 日本で似た切り口の本がないかと探したら、「ガールズ・アーバン・スタディーズ」がそうっぽい。