社会保障を考える上で「結婚」の解体に関心があり、「夫婦関係、恋愛関係」や「それ以外の人間関係」について詳しくなりたいと思い、過去に現代思想2021年9月号 特集=〈恋愛〉の現在を読んでいた。その延長で、今回は現代思想2024年6月号 特集=〈友情〉の現在を読んだ。
友人関係と共同的親密性――「友人関係は結婚を代替し得るか」という奇妙な問いをめぐって/久保田裕之
自分の関心にぴったりの内容だった。「『友情は結婚を代替し得るか』という問いは、問いを偽装した家族主義的反語。結婚家族の特権をそのままに友情と比較しようとするのは、家族の代替不可能性を主張しているだけ。」という内容から始まるのが、良い。
「親密さ」の定義の説明の中で「日本での『親密性』は、共同性のニュアンスが含まれている」とあり、自分はそう思わないので、自分の「馴染めなさ」に一つ説明がついたなと思った。今のところ自分は「次話したときに楽しければ友達」と考えている。
友人関係の変容の説明の中で「かつては政治的討議できることが友情の理想とされており、それは上級市民の特権と紐付いていた」とあり、「政治を語り合える特権」についてすごく考えた。マイノリティ同士が政治を語るとき、少しの特権が大きな隔たりを生じさせることがあるので、語ること自体が難しいと思う。
最終的に「友情が結婚の代替になるにはどのような制度があれば良いか」をまとめる中で、「『関係の危機』を『生活の危機』に直結させないことが必要」とあり、自分が長々しく「結婚制度が社会保障の皮を被っていて、DVなどの問題を隠しているのが悪質」と考えていたのが端的に書かれていて良かった。今後はこの言葉を使おう。
その他印象的だった点
- 「友情とは本質的に副産物である状態」(「友達問題」と「推すこと」――好意の御しがたさ/筒井晴香)
- 「親密な関係の価値づけ、期待の高さのせいで、孤立しているという問題が恋人の有無という問題にすり替わる」(「友達問題」と「推すこと」――好意の御しがたさ/筒井晴香)
- 「水兄弟」という関係性において、友情に儀式を取り入れている(ポリアモリーと友情/深海菊絵)
- 「若者の友人関係」の研究において、研究者の友人関係の見方が投影されてしまっているのではないかという風に、「友情」の研究の難しさが語られている(若者の友人関係とそのゆくえ/浅野智彦)
- それにしてもギデンズがよく参照されている